mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

あつあつを召し上がれ 小川糸 レビュー ネタバレあり

死ぬ前に食べたいものはなんだろう?お寿司?焼肉?いや、やっぱりお味噌汁にご飯、卵焼きかな。そんなことを考えながら読んだ短編集7編。テーマは食。 バーバのかき氷 歳をとると子供返りするなんていうけれど、作中のおばあちゃんがまさにそれ。ご飯を食…

坂の上の赤い屋根 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

何が嘘で、何が本当なのか。 テレビで言っている情報が必ずしも本当ではない。誰かが情報を操作している可能性がある。ネットも雑誌も。だからその情報の出どころはどこなのか。そしてそれは本当なのか。 自分の頭で考えて判断できない人は、騙されていいよ…

三匹の子豚 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

言葉には気をつけないといけない。 そう思えるようになったのは大人になってからだ。子供の頃の口癖って不思議と自分の親の口癖と同じ。良い言葉を使ってくれる親ならいいけれど、人の悪口や愚痴ばかり言っている親の元に育ってしまったら自分でそれを矯正し…

向こう側の、ヨーコ 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

人間は一日に9000回もの選択をしているらしい。 今日は何を着ようか?今日のランチ何を食べようか?帰りにお買い物をしようか?日々小さな選択をしつつ、時として大きな選択に迫られることもある。どの学校に進学しようか?どの会社に就職しようか?起業しよ…

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。辻村深月 レビュー ネタバレあり

親と子の関係に正解はあるのだろうか。 多くの親はきっと子供には幸せになって欲しいと思っているのだと思う。でもその愛情も行きすぎると過干渉となり、子供が自ら考える自由を奪ってしまう。だからと言って子供のことをずっと放ったらかしにしておくのも問…

ツナグ 辻村深月 レビュー ネタバレあり

死者に一人だけ会えるのなら、誰と会うだろう。そして何を伝えるだろう。それともまだまだ先にとっておくだろうか?そんなことを考えながら読んだ人も多いだろう。かくいう私も今の時点で死者に会えるのなら・・・なんてことを考えながら読んだ。 今作では亡…

ふちなしのかがみ 辻村深月 レビュー ネタバレあり

トイレの花子さん、こっくりさん。 今思い出すとなぜそんな話を夢中で信じていたのだろう?と思うけれど、子供の頃特に女の子はみんな信じていたんじゃないかな?怖いけれど知りたい、体験したいという怖いもの見たさ。今作はそんな気持ちを刺激される5編か…

縄紋 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

真梨幸子=イヤミス、女性同士のドロドロのイメージではないだろうか? 今作の主人公は男性。そこからして今までの作品とは違うのかな?と思わされた。 主人公の興梠(こうろぎ)大介の視点と五十部靖子の書いた『縄紋黙示録』という小説とが交互に話は進ん…

素敵な日本人 東野圭吾 レビュー ネタバレあり

日本に住んでいるとついつい日本人の悪いところが目に付く。でも海外に住んでみると日本人の良いところにばかり目が行き、早く日本に帰国して日本に住みたいと思う。 日本人は真面目で親切で丁寧な人が多い。日本人は素敵だ。さて、今作は東野圭吾先生の9つ…

聖女か悪女 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

他人を支配下に置くことに喜びを感じるのは、人間の本能なのかもしれない。 今作では誰しもが他人を支配下に置いて、自分は凄いのだ!と思っている。が、それは勘違い。自分が支配下に置いていると思っている人に弄ばれていたりね。相変わらず真梨先生の描く…

東京すみっこごはん 楓の味噌汁 成田名璃子 レビュー ネタバレあり

人に迷惑をかけてはいけません。 子供の頃はこれが当たり前だと思っていた。でもさ、人に迷惑をかけずに生きていける人っているのかな? 仕事でミスをして同僚に迷惑をかけてしまった時に、あからさまに嫌な顔をされたこともあるし、大丈夫だよ!誰でもミス…

かがみの孤城 辻村深月 レビュー ネタバレあり

学校に行く必要はあるのだろうか。 勉強をするため?それならオンラインでもいいんじゃない?友達を作るため、仲間を作るため?社会生活を育むため?もっともらしい“学校に行く理由”はたくさん出てくる。 でももし学校という社会にうまく馴染めなかったら?…

名もなき毒 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

自分が不幸だと感じる時、自分以外の人は皆幸せそうに見える。 どうしていつも自分だけがこんな目に合うのだろう?と。だからクリスマスやお正月に自殺者が増えるのだという。 人類皆平等ではない。生まれながらにして裕福で親の愛情をたくさんもらって育つ…

ロードムービー 辻村深月 レビュー ネタバレあり

読み終わった後にそういうことか!と全てのピースがはまった。 一度読んだ本の中の全ての登場人物が幸せになっていればいいと思う。こうなればいいな、なんて希望はあるけれど思ったようになっていなくても幸せに暮らしていればいい。だから、かつての登場人…

東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて 成田名璃子 レビュー ネタバレあり

何かに一生懸命になることは悪いことなのだろうか。ひたむきに夢を追ったり、ひたむきに人を好きになったり。好きなことに一生懸命になったり。 何必死になってるの?wそんなので食べていけると思ってるの?ww頑張りすぎてみっともないよ?wwwなんていう言葉…

凍りのくじら 辻村深月 レビュー ネタバレあり

皆様はドラえもんをご存知でしょうか? なんて聞かれて知らない人なんていないんじゃない?と言うくらいドラえもんは名作中の名作だ。では、ドラえもんの中で一番欲しい道具は?どこでもドア。タケコプター。この辺りは鉄板だけど、高校生の頃は暗記パンが欲…

初恋さがし 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

初恋の人を覚えていますか? 初恋ってきっと思い出だから美しいのであって、今現実に会うとガッカリするんじゃないかな、なんて。もし私が誰かの初恋の相手であったとしても絶対にガッカリされる自信がある。 さて、今作はミツコ調査事務所という興信所を舞…

オーダーメイド殺人クラブ 辻村深月 レビュー ネタバレあり

子供の世界はとても狭い。学校のクラスの狭い教室が全てだ。そこで誰と仲良くするか、上手くやっていけるかが全てだ。クラスのヒエラルキー最上位にいたとしても、ある日突然最下位に落ちることもある。特に理由はなくても。なんとなく生意気、勉強ができる…

東京すみっこごはん 雷親父とオムライス 成田名璃子 レビュー ネタバレあり

美味しく食べてほしい人がいるって、本当に恵まれたことなのよね。 今作のP305の田上さんのセリフを引用した。私自身、結婚してから毎日思う。たまに作るのが面倒だなと思う日もあるけれど、美味しいと言って笑顔を向けてくれる家族がいることが何よりも幸せ…

鍵のない夢を見る 辻村深月 レビュー ネタバレあり

本を買う時、皆様はどこを見ますか?表紙を見て買うも良し。裏表紙を見て買うも良し。あとがきを読んで買うも良し。私はいつも裏表紙を読んで買うかどうかを決める。あとがきは最後に読むようにしている。 今作は辻村先生の5作からなる短編小説集。ことごと…

フシギ 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

今度こそは真梨幸子に騙されない。 そう思って注意深く読み始めるのに、毎回冒頭から騙される。そう、今回も冒頭からミスリードされまんまとそのまま読み最後にしてやられた!と気付くのだ。 まず『私』をずーっと女性の作家だと思い込み最後まで来てしまっ…

クローバーナイト 辻村深月 レビュー ネタバレあり

最近外を歩くと入園式?入学式かな?と思うような服装の親子をよく見かける。母親の手にはエルメス、ヴァレクストラなどの定番とも言えるバッグ。それにしてもケリーとボリードの率が高い。こんな時期に入園式?なんだろう?なんて思っていたが、今はお受験…

名前探しの放課後 辻村深月 レビュー ネタバレあり

3ヶ月後に同級生が自殺をする。それを止めるために3ヶ月後から戻ってきた。あれ?読んだことある?なんとなく辻村先生のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』に設定が似てるなぁというのが最初の印象。 mooncatbooks.hatenablog.com 同級生の自殺を止める…

東京すみっこごはん 成田名璃子 レビュー ネタバレあり

どんな時でもお腹は空く。悲しい時も、苦しい時も。食欲なんて無いと思っていても、美味しそうなお出汁の香りを嗅ぐとお腹が空いてくる。生きていく上で食ほど大切なものはない。 今作では、いじめに悩む高校生、結婚したい独身女性、目標を見失ったタイ人留…

ユリゴコロ 沼田まほかる レビュー ネタバレあり

沼田まほかるワールドへようこそ。と言われているようなこの表紙。ホラーやらミステリーやらと何かのジャンルに組み込むことのできない、まさに沼田まほかるワールドを思う存分堪能できた一冊。終始、うっすらとモヤがかかったような独特の世界感が大好きだ。…

夢を売る男 百田尚樹 レビュー ネタバレあり

今作は小説家になりたい、本を出版したいと考えている全ての人に必ず読んで欲しい。 自分が書いた本を出版したい。 読書好きな方なら一度は考えたことがあるのではないだろうか。私自身読書が大好きだし、これだけ本を読んでいるのだから自分にも書けるだろ…

ぼくのメジャースプーン 辻村深月 レビュー ネタバレあり

許せない人はいますか? 自分ににひどいことをした、傷つけた人。許そうと思っても許せない人。そんな許せないという自分の気持ちとどう付き合っていくのが正しいのだろうか。 結論から言うと私の場合は、もう二度とその人とは関わらない。連絡が来ようとず…

クスノキの番人 東野圭吾 レビュー ネタバレあり

『家族』をテーマにした小説は苦手だが、本当に読んで良かった。 家族だから仲良くしましょう、家族だから話し合えば分かる。家族だから分かり合えて当然。家族だから・・・と理想の家族像を押し付けられるのが苦手なのは、私自身が家族に恵まれなかった側の…

なんて素敵にジャパネスク2 氷室冴子 レビュー ネタバレあり

20年以上ぶりに“なんて素敵にジャパネスク”を読み、登場人物と久しぶりの再会を果たした気持ちになった。大好きな鷹男が出てきた! あら?久しぶりねー!元気だった?全然変わらないわね!こっちなんて中学生だったのにもうアラフォーよ!と時の流れを感じ…

検索禁止 長江俊和 レビュー ネタバレあり

以下の言葉を決して検索してはいけません。 『くねくね』『コトリバコ』 大丈夫ですよね?検索していませんよね?検索してはいけませんって言っているんだから、検索なんてしていませんよね? なんて言われると気になりませんか?どういう意味?思わず検索し…