mooncatの図書館

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初恋さがし 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

 

初恋の人を覚えていますか?

 

初恋ってきっと思い出だから美しいのであって、今現実に会うとガッカリするんじゃないかな、なんて。もし私が誰かの初恋の相手であったとしても絶対にガッカリされる自信がある。

 

さて、今作はミツコ調査事務所という興信所を舞台に繰り広げられる人間模様。登場人物が多いのが真梨先生らしい。私は一気に読み終わった後に二周目を読みながら人物相関図を書くのが好きだ。真梨先生の作品は二度楽しめる。

 

主人公はミツコ調査事務所の所長、山之内光子。『初恋の人、探します』というキャッチフレーズで一躍有名になった調査事務所の所長。この調査事務所には様々な人が訪れる。初恋の人だけでなく、昔の親友、自分がかつて住んでいたマンションに今住んでいる人、かつての先生などなど。善意の客もいれば、悪意の客もいる。ま、悪意の客がほとんどなんだけど。

 

光子の母は男性関係にだらしなく、あちこちで子供を作るんだけど根本沙織、永山乃亜が光子の妹っていうのにはびっくり。そしてみんな同じミツコ調査事務所で働いているというね。そんなことある?

 

永山乃亜が黒幕の中の黒幕で、日高定子を手下に置いて根本沙織を殺していたのにも衝撃!これを最後の数ページに書くのはなんとも真梨先生らしいよね。日高定子死んでなかったのねー!

 

誰にも共感できないし、誰にも同情できないんだけど、一番ゾッとしたのは『初恋さがし』の章のロリコン橋本友樹。ロリコン故に小学校の先生になったり、予備校の先生になったり。そしてかつて勤めていた小学校の生徒と結婚。しかも過去にその生徒にいたずらまでしていて・・・妻はそのことを知らずに結婚。ホラーしかない。現実にあったら本当におぞましくて気持ち悪いんだけど、この怖いもの見たさを刺激されて真梨先生にハマるんだよね。

 

過去は過去で美しいものはそのままに、嫌だったことは忘れて。今が幸せなら過去の人なんてどうでもいいし気にならない。過去の人の現在を知ったばかりに不幸になった人の詰め合わせで今作も本当に楽しめた。ドロドロのイヤミスの世界。いつこの沼から抜け出せるのだろう。