mooncatの図書館

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聖女か悪女 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

 

他人を支配下に置くことに喜びを感じるのは、人間の本能なのかもしれない。

 

今作では誰しもが他人を支配下に置いて、自分は凄いのだ!と思っている。が、それは勘違い。自分が支配下に置いていると思っている人に弄ばれていたりね。相変わらず真梨先生の描く登場人物は誰一人と好きになれないが、本当の黒幕は誰なのかを追って行くのがとても楽しかった。

 

月村珠里亜(本名は静子)というカリスマブロガーは売れない芸人松野洋平と結婚する。珠里亜は洋平を支配下に置いていると感じているが、実は逆。神奈乙音(本名は尾沢絵美子)も麻乃紀和もそう。自分が誰かを支配下に置いて喜んでいるが、実は巧みに操られていただけ。

 

そしてまさかの黒幕がBMOの事務局長高野光輔ということにびっくりした。だって彼、ちょろっとしか出ていなかったじゃない?

 

現実世界でもよく思うのは、本当の黒幕は誰だろうね?ということ。悪事を働いて逮捕された人の裏にいるのは誰なのだろう?政治家にしてもこの発言をしろと命令しているのは誰なのだろう?と。

 

権力者が悪いことをしても表に出ない、報道されない、警察も見て見ぬふりをする。いわゆる上級国民が一番恐れていることは真の権力者に見放されないようにすること。お金があって、それなりの地位も持っているのに他人に嫌われないようにビクビクするのもおかしな話だね。お金はあるに越したことはないけれど、やっぱり普通でいいや。

 

今作は実際の事件を元に描かれているのかな?多分、麻乃紀和の事件は座間のあの事件。モンキャット事件はプチエンジェル事件だよね?真梨先生切り込んでいくよね。プチエンジェル事件なんて闇深すぎて書き出したらキリがないけれど、本当の黒幕は誰だったんだろうね。誰が関係していたのだろうね。

 

エログロ満載で途中描写が気持ち悪くも感じるけれど、先が気になって読んでしまうのが真梨先生の魅力。処刑ショーあたりがもう・・・ところで聖女って出てきた?誰?敢えて言うなら澄美子あたりか?