mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

フシギ 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

 

今度こそは真梨幸子に騙されない。

 

そう思って注意深く読み始めるのに、毎回冒頭から騙される。そう、今回も冒頭からミスリードされまんまとそのまま読み最後にしてやられた!と気付くのだ。

 

まず『私』をずーっと女性の作家だと思い込み最後まで来てしまった。最後の数ページで騙されたことに気づき、あーって声が出るよね。悔しいけれど、こうやって毎回真梨先生の手の上で転がされる感じが好きだ。

 

今作は、犬神、事故物件、生霊などなどオカルト話が続く。こういうお話大好物!ってわけではないけれど、ちょっと興味はそそられる。怖いもの見たさというか、そんなこと信じているわけじゃないけれど覗き見してニヤニヤしたい。人ってフシギだよね。幸せでありたいと思うのに、決して愉快ではないものに興味をそそられる。

 

オカルト話が続くかと思いきや、最後はまさかのコロナを彷彿させるようなお話で終わり。ちょっと展開が読めなかったわ。本当の本当の黒幕は地味で目立たなかった黒田佳子というオチ。もしかしたら拍子抜けと思う方もいらっしゃるかもしれないが、私は最後はめちゃくちゃ興奮した。こんな展開でこんなオチが待っていたのねーと。

 

私=小谷光太郎

光太郎が尾上まひるをMマンションから突き落とす。

かつて南米に養子に出されたマキちゃんの娘が黒田佳子。

黒田佳子が南米に帰省した際に罹ったであろう謎の風邪が、自身の勤めている会社で流行る。

小谷光太郎が謎の風邪で死ぬ。

小谷光太郎は黒田佳子の従兄弟。

 

なんてことが最後に判明し、怒涛の展開に大興奮。途中で出てくる病院の敷地内にあった事故物件やら姉妹共依存やらが霞むレベル。オカルト話は信じるも信じないも人それぞれで、私はそんなことは信じない。やっぱり一番怖いのは生きている人間だよね。謎の風邪で亡くなった小谷光太郎も柿村孝俊も『心不全』ということにされた。会社の名誉を守るために。