mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

クローバーナイト 辻村深月 レビュー ネタバレあり

 

最近外を歩くと入園式?入学式かな?と思うような服装の親子をよく見かける。母親の手にはエルメス、ヴァレクストラなどの定番とも言えるバッグ。それにしてもケリーとボリードの率が高い。こんな時期に入園式?なんだろう?なんて思っていたが、今はお受験シーズンだそうだ。子供がいない私には無縁の世界。

 

今作は父、母、娘、息子の4人家族の父親視点から見た子育てのお話。ママ友付き合い、お受験、お誕生日会、学生時代の友達との関係などなど。全然知らない世界のことなので興味深く読むも、みんないろいろあるんだなぁと。

 

特に一番興味深かったのが、言葉の発達の話。一般的に女の子の方が言葉を覚えるのが早いと言われているようだが、そんなの人それぞれ。よちよち歩きするのも立つのも人それぞれ。早ければいいというわけでもないし、他の子と比べるなんてナンセンス。だけど、親としたら言葉を覚えるのが遅いとどうしても気になってしまう。それを人に指摘された日にはもう・・・

 

志保の母親のことは読んでいてイライラ。暇な人って自分の不安を一人で増殖させてそれを無遠慮にぶつけてくるよね。目に見えない言葉の暴力。しかもそれに本人は気づいていないし、きっと指摘されても私はあなたのためを思って・・・なんて言うのだろう。私が志保の立場なら母親からの連絡の全てを無視するなぁ自分の心と自分の家族を守るために。自分の一番大切なものを守るためには、不要なものを手放さなければいけない。

 

子供がいる幸せ、子供がいない幸せ。どちらも幸せなんだけど、今から子育てします!なんて方には今作はあまりオススメできないかな。子育ての闇に焦点が当たっているので、読んでいて苦しくなるかと思う。読後感は良いのか悪いのか。良いように終わっているけれど、私はなんだか生々しい子育て現場を見た気がして疲れてしまった。辻村先生の子供に関するお話なら断然『朝が来る』がオススメだ。

 

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