mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

ラットマン 道尾秀介 レビュー ネタバレあり

人は自分が見たいように世界を見ている。

自分は恵まれていると思えば恵まれている部分がよく見えてくるし、自分は不幸だと思えば不幸な部分がよく見えてくる。

今作では人の思い込み、勘違いによって一つの出来事が人それぞれ色んな形で結論づけられていく。ミスリードに次ぐミスリードにまんまとハマり、道尾先生に振り回される感じがとても楽しく一気読み。今まで読んだ道尾先生の作品で一番好き。以前読んだ道尾先生の作品レビューはこちらから。

 

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ひかりを殺した犯人は亮なのかな?と思いつつも、亮ってそこまで自分勝手じゃないような気もするし。うーん、でもみんな亮が犯人だと思ってるし・・・と思っていたらまさかの桂?からの野際!って揺さぶられたー!

亮の姉の塔子はずっと父親から虐待されていたと思っていたし、亮は姉以外の家族からは大切にされていなかったと思っていたし、勘違いしながらずーっと読んでいて最後にストンと全てが分かった時の爽快なこと。なんか人生って勘違いと思い込みの連続なのかもしれないね。

あの人に嫌われているとか、好かれているとか。自分は幸せだとか不幸だとか。まぁこれもきっと自分の思い込み以外の何物でもないことだし、どうせ生きているのなら良い方に物事を考えていくのが得だよなぁ。うじうじとマイナス思考な人とは距離を置いて、自分に辛く当たってくる人は避けて。物事を肯定的に受け止めて。ってこれができれば苦労しないんだけどね。頭の片隅にでも置いておければ幸せを感じる瞬間が増えるね。

生きていると色んなことがある。良いことも悪いことも。でも悪いことと自分で思っていることも勘違いかもしれないね。自分の中で悪いことだと思っていたことも時間が経てば良いことへと上書きできそう。そんな気持ちになった。