mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

紫蘭の花嫁 乃南アサ レビュー ネタバレあり

乃南アサ先生の作品は最後の最後まで見逃せない。 今作は1992年に書かれたもので、今から約30年も前のお話。時代背景もちょっと古い。カップルのことはアベックと書かれているし、テレクラなんて今の若い方には何それ?と感じることだろう。今で言う婚活アプ…

うつくしい子ども 石田衣良 レビュー ネタバレあり

愛情とは支配することだから。 本作で一番印象に残った言葉。こういう曲がった愛され方をした人って意外と多いのではないだろうか。子供には成功してほしい、良い人生を歩んで欲しいと望むばかりに子供にたくさんのことを要求する。みんなと仲良くしなさい、…

カケラ 湊かなえ レビュー ネタバレあり

日本人は他人の容姿に厳しい。 海外3カ国に住んだことがあるが、他人に容姿のことで何か言われたことは一度も無かった。でも日本では容姿に対する心ない言葉を何度も浴びせられた。よっぽどの美人でない限り、デブとかブスと言われたことのある人が大半なの…

ラットマン 道尾秀介 レビュー ネタバレあり

人は自分が見たいように世界を見ている。 自分は恵まれていると思えば恵まれている部分がよく見えてくるし、自分は不幸だと思えば不幸な部分がよく見えてくる。 今作では人の思い込み、勘違いによって一つの出来事が人それぞれ色んな形で結論づけられていく…

私が失敗した理由は 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

人の不幸は蜜の味。 特に自分の嫌いな人、成功者、上級国民なんて呼ばれるような人が転落する様は面白いものである。もちろんそんなこと口には出さないし、自分の心の中で思っているだけ。ましてや本人に直接言ったりSNSに書いたりはしない。それはもう知能…

出版禁止 長江俊和 レビュー ネタバレあり

フィクションなのか、ノンフィクションなのか。途中でわからなくなるほどに本に没頭した。もちろん最初はフィクションだと思って読み始めるのだが、構成の上手さにあれ?これって・・・なんて思い始めたり。本を読んでいるというよりも事件に関してのネット…

孤虫症 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

誰にも共感できない。誰にも感情移入できない。だけど、真梨先生の作品はつい一気読みしてしまい、更に2周目にまで突入する。今作がデビュー作らしいが、デビュー作でよくこんな小説が書けるなと。 今作ではフリーセックスを楽しむ主婦の麻美の不倫相手が次…

ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 東野圭吾 レビュー ネタバレあり

人は一度手にしたものを失うことを怖がる。お金、地位や名誉、高価な物。失ってもまた一から積み上げていけばいいと思えるほど人ってきっと強くないのでしょうね。そこまで達観できるのならそれはとても幸せなこと。 名もない小さな寂れた町で町おこしの計画…

冷たい校舎の時は止まる 辻村深月 レビュー ネタバレあり

高校生の時の悩みって何だったかな? 多分好きな男の子に気持ちを打ち明けようかと迷っただろうし、クラスの友人と喧嘩してしまって悩んだだろうし、思うように成績が伸びなくて悩んだだろうし、大学受験のことでも悩んだだろう。でも30も半ばになった今では…

最高のアフターヌーンティーの作り方 古内一絵 レビュー ネタバレあり

古内先生の作品を読んだ後は幸せでいつもボーッとしてしまう。今作も美しすぎる情景の描写にうっとりした。 桜山ホテルに勤める遠山涼音(すずね)は念願のアフターヌーンティーチームに異動になる。新しいアフターヌーンティーのメニューを企画するもシェフ…