mooncatの図書館

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孤虫症 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

誰にも共感できない。誰にも感情移入できない。だけど、真梨先生の作品はつい一気読みしてしまい、更に2周目にまで突入する。今作がデビュー作らしいが、デビュー作でよくこんな小説が書けるなと。

今作ではフリーセックスを楽しむ主婦の麻美の不倫相手が次々と体にコブを作り死んでいく。そして自身の体にも異常が・・・

もうこの時点で嫌な気分になるんだけど、更にタワマンの中のヒエラルキーとか姉妹間、親子間の嫉妬とか。女性同士の嫌な関係が次々と出てくる。あぁ真梨先生、最高です。

本を読んで自分も病気かも!?と思い込み、どんどん自身の妄想により体調に異変をきたす麻美を見てふと真梨先生の『ふたり狂い』を思い出した。

 

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人間の思い込みってすごい力を持っていて、良くも悪くも人生を大きく変える。良いことを考えれば良い方向に。悪いことを考えれば悪い方向に。麻美は思いっきり悪い方向に転んでしまったんだね。そして麻美の不運というか、目をつけられた相手が悪かったよね。

冒頭から麻美って最悪!自業自得でしょ?と思わせる描写が続くけれど、実は黒幕は梶原さんかぁ。って知った時の衝撃!こういうどんでん返しがあるから真梨先生の小説が大好きで二周目に突入してしまう。フリーセックスを楽しんでいる主婦が麻美だと思い込んで読んでいたので、二周目はちゃんと梶原さんと思って読むと一周目では見えなかったことがちらほら見えてまた面白かった。

寄生虫とか性行為の描写が生々しくちょっと気持ち悪い箇所もあるので、苦手な人は苦手かな。と思うけれど、私はこの読後感最悪の真梨先生のイヤミス大好きなので楽しめた。