mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

宮部みゆき

とり残されて 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

とり残されて (文春文庫) 作者:宮部 みゆき 文藝春秋 Amazon ゴールデンウィークは本をたくさん読もうと決めて読んだ一冊。短編なのにグッと引き込まれる作品ばかりだった。 とり残されて 婚約者を事故で亡くした女性。事故を起こした犯人は未成年で大した罪…

昨日がなければ明日もない 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

昨日がなければ明日もない 作者:みゆき, 宮部 文藝春秋 Amazon 杉村三郎シリーズ第五作目。 相変わらず社会の闇と戦う杉村だが、今回のテーマは“ちょっと困った女性たち”。いや読後に思ったことは、ちょっとどころではないよ!こんな困った人が周りにいたら…

小暮写眞館 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

小暮写眞館 上下巻セット 講談社 Amazon 「小さい子供が死ぬなんて、あっちゃならないことだから。おっかないことだからね。誰か責任者をつくらないと腹が収まらなくって、言いたいこと言う連中はいるんだよ」 (下巻p331) 小さい子供が死んだなんてニュー…

あやし 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

あやし―怪 作者:宮部 みゆき 角川書店 Amazon 昔の人は、霊やら迷信やらを信じていたらしい。 時は江戸時代。科学も医療も発達していない時代だからこそ霊やら迷信が信じられていたのだろう。 今作は9作の短編集からなる。どれも霊、鬼、病がキーワードとな…

希望荘 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

希望荘 (文春文庫) 作者:みゆき, 宮部 文藝春秋 Amazon 今作は杉村三郎主役の第四作目。一作目から三作目はこちら。 誰か―Somebody (文春文庫) 作者:みゆき, 宮部 文藝春秋 Amazon 名もなき毒 (文春文庫) 作者:みゆき, 宮部 文藝春秋 Amazon ペテロの葬列 作…

誰か 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

数年前に読んだ本なのに内容を完全に忘れてしまっていた。当時私がどういう感想を持ったのかは覚えていないが、今回再読して心揺さぶられたシーンがいくつもあった。 “誰か” この表題の意味は何なのだろう。読み終えた後にp.402に戻る。 人は一人では生きて…

名もなき毒 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

自分が不幸だと感じる時、自分以外の人は皆幸せそうに見える。 どうしていつも自分だけがこんな目に合うのだろう?と。だからクリスマスやお正月に自殺者が増えるのだという。 人類皆平等ではない。生まれながらにして裕福で親の愛情をたくさんもらって育つ…

夢にも思わない 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

中学生の淡い恋愛ものなのかな?という期待を見事に裏切ってくれたこの作品が好きだ。 物語の初めは、主人公の緒方くん。お友達の島崎くんに、片想い中のクドウさんとの関係にいいなぁ、若いなぁ、かわいいなぁという思いで読んでいたのにまさかの殺人が起こ…

返事はいらない 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

宮部先生の『火車』を読んだ時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。消費者金融からお金を借り、返済できなくなって自己破産。その後別人になりすまして生活するという凡人には思い付かないような生活に衝撃を受けた。今作は『火車』の原型とも言える作品が掲載…

R.P.G 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

ネット上の自分と現実の自分。どちらが本当の自分なのだろうか? ネットでは現実の自分を偽ることができる。性別、年齢、住んでいる場所、生い立ちから職業まで。大抵、誹謗中傷を書き込む人は現実世界では地味で目立たなく大人しい人だったりもする。自分に…

長い長い殺人 宮部みゆき レビュー ネタバレあり

小説の多くの語り手は自分、そして自分の身の回りの誰かだ。稀に動物が語り手のこともある。しかし!度肝を抜かれた。今作の語り手はまさかの『お財布』。 あたしはバッグの底で祈るしかなかった。彼女は働いてあたしを一生懸命膨らませようとしていた。 な…