mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

名前探しの放課後 辻村深月 レビュー ネタバレあり

3ヶ月後に同級生が自殺をする。それを止めるために3ヶ月後から戻ってきた。あれ?読んだことある?なんとなく辻村先生のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』に設定が似てるなぁというのが最初の印象。 mooncatbooks.hatenablog.com 同級生の自殺を止める…

東京すみっこごはん 成田名璃子 レビュー ネタバレあり

どんな時でもお腹は空く。悲しい時も、苦しい時も。食欲なんて無いと思っていても、美味しそうなお出汁の香りを嗅ぐとお腹が空いてくる。生きていく上で食ほど大切なものはない。 今作では、いじめに悩む高校生、結婚したい独身女性、目標を見失ったタイ人留…

ユリゴコロ 沼田まほかる レビュー ネタバレあり

沼田まほかるワールドへようこそ。と言われているようなこの表紙。ホラーやらミステリーやらと何かのジャンルに組み込むことのできない、まさに沼田まほかるワールドを思う存分堪能できた一冊。終始、うっすらとモヤがかかったような独特の世界感が大好きだ。…

夢を売る男 百田尚樹 レビュー ネタバレあり

今作は小説家になりたい、本を出版したいと考えている全ての人に必ず読んで欲しい。 自分が書いた本を出版したい。 読書好きな方なら一度は考えたことがあるのではないだろうか。私自身読書が大好きだし、これだけ本を読んでいるのだから自分にも書けるだろ…

ぼくのメジャースプーン 辻村深月 レビュー ネタバレあり

許せない人はいますか? 自分ににひどいことをした、傷つけた人。許そうと思っても許せない人。そんな許せないという自分の気持ちとどう付き合っていくのが正しいのだろうか。 結論から言うと私の場合は、もう二度とその人とは関わらない。連絡が来ようとず…

クスノキの番人 東野圭吾 レビュー ネタバレあり

『家族』をテーマにした小説は苦手だが、本当に読んで良かった。 家族だから仲良くしましょう、家族だから話し合えば分かる。家族だから分かり合えて当然。家族だから・・・と理想の家族像を押し付けられるのが苦手なのは、私自身が家族に恵まれなかった側の…

なんて素敵にジャパネスク2 氷室冴子 レビュー ネタバレあり

20年以上ぶりに“なんて素敵にジャパネスク”を読み、登場人物と久しぶりの再会を果たした気持ちになった。大好きな鷹男が出てきた! あら?久しぶりねー!元気だった?全然変わらないわね!こっちなんて中学生だったのにもうアラフォーよ!と時の流れを感じ…

検索禁止 長江俊和 レビュー ネタバレあり

以下の言葉を決して検索してはいけません。 『くねくね』『コトリバコ』 大丈夫ですよね?検索していませんよね?検索してはいけませんって言っているんだから、検索なんてしていませんよね? なんて言われると気になりませんか?どういう意味?思わず検索し…

なんて素敵にジャパネスク 氷室冴子 レビュー ネタバレあり

中学生の頃に夢中になった本を20年以上の時を経て手に取った。 あの頃はドキドキしながら読んだなぁと思いつつ、今の自分が読んだらどう思うのだろうと。20年経ってもやはり色褪せない、むしろこの年齢だからこそ分かることもある。中学生の頃よりも夢中にな…

スイート・マイホーム 神津凛子 レビュー ネタバレあり

家は生活の基本だ。 多額の借金がある人の家や競売にかけられている家の汚部屋率はとても高い。部屋の乱れは心の乱れとは良く言ったものだ。家と住む人とは必ず強く繋がっている。 主人公の賢二は念願のマイホームを手に入れる。妻と娘との3人暮らし。しか…

水底フェスタ 辻村深月 レビュー ネタバレあり

臭いものに蓋をする。 いじめは無かった。いじめに気付かなかった。いじめを苦に自殺した生徒を前に、そんな無責任な教師や校長の声が聞こえてくるような気がした。 閉鎖的な湖畔の村、睦ッ代村出身の織場由貴美は村を離れ上京し芸能界で成功していた。そん…

子どもたちは夜と遊ぶ 辻村深月 レビュー ネタバレあり

不幸になってはいけません。 秋山教授のこの言葉がとても印象に残った。幸せかどうかは自分が決めることだとは思うが、自分で自分を不幸にしてはいけない。自分を故意に傷つける人がいるのなら距離を置く。子供の頃はこれできないよね。虐待をする親の元に生…

鸚鵡楼の惨劇 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

もう二度と真梨幸子には騙されない。 そう思って心して読んだのに、またしてもやられてしまった。人間の思い込みの力には勝てないね。冒頭から騙された。“こうちゃん”=“河上航一”って思うよね?もうずーっと最後までこう思い込んでたから最後の衝撃がすごか…