mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

なんて素敵にジャパネスク 氷室冴子 レビュー ネタバレあり

 

中学生の頃に夢中になった本を20年以上の時を経て手に取った。

 

あの頃はドキドキしながら読んだなぁと思いつつ、今の自分が読んだらどう思うのだろうと。20年経ってもやはり色褪せない、むしろこの年齢だからこそ分かることもある。中学生の頃よりも夢中になって読んだ。

 

何よりも魅力的なのは主人公瑠璃姫。平安時代の貴族なのに活発で破天荒で、おおよそ位の高い貴族とは思えないような行動力。そしてその瑠璃姫に翻弄される女房の小萩に幼馴染の高彬。

 

当時の結婚適齢期が14-15歳なのに対して瑠璃姫は16歳。父親が瑠璃姫の結婚に焦るも、瑠璃姫は結婚する気なんて更々ない。中学生の頃に読んでいた時は私くらいの年齢で結婚?とビックリしたのを思い出す。

 

父親に無理やり結婚させられそうになるが、高彬と結婚することになる瑠璃姫。当時は初夜を迎える=結婚だが、その日にはまぁ当然のようになんだかんだハプニングが起こり結婚は先延ばしになる。もどかしいけれど、次は何が起こるの?と楽しみにもなってくる。

 

平安時代の貴族の遊びってとても風流だ。瑠璃姫と藤宮が貝合わせをして遊んだなんて描写があって、むしろ私もそんな風に遊んでみたい!蛤の中に絵が描かれていて、それを合わせるなんて贅沢の極みだ。一人で眺めているだけでも楽しそう。こんなの。

 

 

中学生の頃は瑠璃姫と高彬の行く末ばかりに気を取られていたが、今回読み直してみると時代背景の美しさに惚れ惚れした。男性が女性に文を送るのも風流だよね。今やLINEが主流で手紙をもらう機会なんてそうそう無いし、長い時をかけて女性に愛の文を送り続けて結婚なんていいなぁ。

 

20年以上ぶりに読んでみたら当たり前だけど本の内容はほとんど忘れていて、でもふとしたところは記憶にあって。そんな発見がとても面白い。当時の私は20年後にまた読むことになるなんて思ってもみないだろうなと思うと不思議な気持ちになる。