mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

スイート・マイホーム 神津凛子 レビュー ネタバレあり

 

家は生活の基本だ。

 

多額の借金がある人の家や競売にかけられている家の汚部屋率はとても高い。部屋の乱れは心の乱れとは良く言ったものだ。家と住む人とは必ず強く繋がっている。

 

主人公の賢二は念願のマイホームを手に入れる。妻と娘との3人暮らし。しかしながらマイホームを建ててからおかしなことが次々と身に降りかかってくる。誰もいないはずなのに視線を感じたり、おかしな音が聞こえてきたり、家に招いた友人が顔面蒼白になって帰ったり、遊びに来た子供がお化けがいると言い出したり。霊なのだろうか。土地が悪いのだろうか。

 

霊とかお化けとかは信じていないが、賢二が浮気なんてするから誰かが嫌がらせしてるんじゃないの?盗聴器とかさ。自業自得じゃないの?なんて思って読んでいたらまさかの本田さんかー!家に並々ならぬ思い入れがあるのは仕事としては素晴らしいけれど、自己の理想を投影しすぎでしょ?

 

本田さんのお父様が亡くなったのは悲しかっただろうし、自分の理想の家庭を思い描くのはもちろん勝手だがそこまで他人の家庭にのめり込む理由が私にはいまいち理解できなかった。本田さん美人なんだし、浮気をするような婚約者なんて捨てて新しい出会いを求めれば良かったのでは?美人で頭も良く立ち回りも上手だし自身で幸せを掴むことができただろうに・・・

 

ほっと一息つくための家が落ち着かない、帰りたくないのは辛い。本田さんのような女性はいないだろうけれど、私が賢二の立場ならお金はもったいないけれど家を売りに出すなぁ。幸い妻の実家とも良い関係を築けているわけだから、妻の実家に居候させてもらうとかさ。本田さんの意図はあまりよく理解できなかったけれど、家で起こる現象にはゾッとする怖さがあった。深夜に読むのはおすすめしない。