mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

紫蘭の花嫁 乃南アサ レビュー ネタバレあり

 

乃南アサ先生の作品は最後の最後まで見逃せない。

 

今作は1992年に書かれたもので、今から約30年も前のお話。時代背景もちょっと古い。カップルのことはアベックと書かれているし、テレクラなんて今の若い方には何それ?と感じることだろう。今で言う婚活アプリとSNSの間のようなものだろうか。

 

今作では連続女性殺人事件が起こるのだが、この被害者がまさにテレクラで出会った男性に殺されるというもの。テレクラなんて今の時代にはそぐわないものであるが、今はSNSで出会って気軽に会って殺されるなんてニュースは特に珍しくもない時代である。時代が変わっても出会い方が変わっても根本は変わらない。ネット上で優しいからといって簡単に会ったり家に行ったりしちゃダメだよ。

 

さて、今作の主人公三田村夏季。追ってくる男から逃げて逃げて逃げまくる。見つかったらすぐさまアルバイト先を変え、家をも引っ越す。そのフットワークの軽さがなんかもうついていけない。そんなにやばいことしたの?それともストーカー?読んでいる中でなんとなく三田村夏季=摩衣子だということは分かったし、夏季の人生をめちゃくちゃにした犯人が分かった時も特に驚きは無かった。ただ一番怖いのはエピローグの最後の最後。

 

乃南先生は最後は読者に託す形で終わらせているけれど、嫌な予感しかしないよね。いや、これは敢えて私は訪ねてきたのはニューヨークから帰ってきた夏季の姉、もしくは新生活のために購入した大型家具を運んできた配達員だと思いたい。夏季はこれ以上不幸になることないでしょ?イヤミスは好きだけど、今回はこういう捉え方でもいいよね?てことで、私は今作はハッピーエンドとして結論付けた。皆様はどう読まれましたか?