mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

あの女 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

 

最初から騙されずに読んだ人いる?

 

いやーすっかりミスリードされて読んでしまった。最後にえ!?ってなるの好きだ。そして読み終わった後すぐに読み直してしまいたくなるこの感じ。真梨先生さすがです!

 

さて、こちらの作品は単行本発刊時は『四〇一二号室』だったそう。改題前の題名も好き。個人的には四〇一二号室の方が、心理的瑕疵物件がより色濃く出る題名で私はゾクゾクする。心理的瑕疵物件は気にする人も気にならない人もいると思うけれど、私は気にするタイプ。自分は住みたく無いけれど、ちょっと興味はある。

 

人と比べない。あなたはあなた。自分らしく。とか最近よく耳にする言葉だけど、そもそも人と比べないなんて絶対無理な話。タワマンの最上階に住む売れっ子作家三芳珠美と、安いアパートに住む売れない作家根岸桜子。しかもこの二人、ほぼ同時期にデビューしているという。桜子の立場からしたら珠美のことは絶対気になるし、負けたくない相手だし、蹴落としてまで自分が上り詰めたいという強い気持ちがないと作家活動なんて無理でしょう。嫉妬するのは普通だよね。珠美がマンションから転落して喜ぶ桜子の気持ち、表立って出さないけれどよーく分かる。

 

珠美がマンションから転落してからは、桜子や編集の西岡がいる現実世界と植物人間状態とされている珠美の世界とで話が進んでいると思いつつ読んでいたら違った!これ最初からミスリードされずに読めた人いるのかな?だって私の名前はミヨシタマミ?って描写もあったし、そりゃ珠美だと思うでしょ!?まんまと騙されたわー!まさかの西岡の奥様だったとは。西岡の奥様、出生のこともだけれど珠美に小説のネタにされたり、浮気されたりとなんだか悪い人ではなさそうなのにものすごく不憫だった。

 

もういろんな人が殺されていくけれど、まさかの犯人に驚愕。盲点だったわー全然マークしてなかったわー。私は真梨幸子先生の読ませたいように読んでしまった読者の一人。次こそは騙されないぞ!と思うけれど、絶対に騙されてしまうんだよね。だから読書はやめられない。

 

真梨先生のこの作品と出会って真梨先生にハマってしまった。個人的にこの作品は2周するのがオススメだ。読み終わった後すぐに再読してしまった。あぁこんな描写もあったのねと再発見が面白い。あの写真の意味とかね。ゾワゾワした。あ、そうそう冒頭から出てくる不動産屋の方は勝手に男性かと思っていた。これは不動産屋=男性という私の思い込みによるものだろうけれど、なんか騙された感じがするんだよなぁ。