mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

向こう側の、ヨーコ 真梨幸子 レビュー ネタバレあり

 

人間は一日に9000回もの選択をしているらしい。

 

今日は何を着ようか?今日のランチ何を食べようか?帰りにお買い物をしようか?日々小さな選択をしつつ、時として大きな選択に迫られることもある。どの学校に進学しようか?どの会社に就職しようか?起業しようか?この人と結婚しようか?それとも独身でいようか?子供を持とうか・・・

 

何を選んでもその時その時自分の頭で考えて決めたのならどれも正解。だけど、もしあの時こうしていたら・・・なんて考えること人間ならあるよね。

 

今作では二人のヨーコの話。A面のヨーコは独身で小説家。B面のヨーコはパートで働く主婦。親は離婚しており祖母に育てられる。一番の分岐点は親の離婚かな。B面のヨーコは親の離婚によって転校している。でも不思議とA面とB面のヨーコの友人、知人はほぼ同じ。結局どの道を選んでいても出会う人は同じなのかな。

 

と思いながら読み進みていたけれど、やっぱり真梨先生には騙された!A面とB面のヨーコは違う時空で生きている二人だと思っていたのにまさか同じ時空で生きているとは。そして一番怖いのはケンちゃんこと大森健一。A面のヨーコ(永福陽子)ともB面のヨーコ(大森陽子)とも繋がっているというね。B面のヨーコと結婚しながらもA面のヨーコと不倫中。これが分かった時のゾワゾワする感じがなんとも言えない。

 

別次元のお話として読んでいたのに、途中からその境界線が曖昧になってきて最後はピッタリと世界が重なる。真梨先生、さすがです。今回も騙されました。いろんな人が殺されて、その犯人もまさかの・・・ね。

 

友達であっても女性同士の妬み嫉み。自分が現実に巻き込まれるのは嫌だけれど、このドロドロ感。真梨先生、最高でした。でも、このドロドロ感の無い『縄紋』もとてもおすすめです。ドロドロに疲れた際にはぜひお手に取ってくださいませ。

 

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