縄紋 真梨幸子 レビュー ネタバレあり
真梨幸子=イヤミス、女性同士のドロドロのイメージではないだろうか?
今作の主人公は男性。そこからして今までの作品とは違うのかな?と思わされた。
主人公の興梠(こうろぎ)大介の視点と五十部靖子の書いた『縄紋黙示録』という小説とが交互に話は進んでいく。のだが、どちらが現実の世界なのか何が本当なのかが段々と分からなくなってくる。あー洗脳されてるなぁ、真梨幸子に五十部靖子に。五十部靖子が夫と子供を殺したのは、人類が滅亡しないために生贄として捧げたのだったかな?あれ?今は20xx年だよね・・・
五十部靖子が夫と子供を殺したのは大麻によってバッドトリップし、衝動が抑えられなかったからという何とも意味不明なオチ。心神喪失を裏付けるために書いたのが『縄紋黙示録』というわけだ。私たち読者は五十部靖子の長い長い妄想を読まされていたわけ。
殺人事件の犯人なんかは途中で想像がついていたし特に驚きはなかったけれど、今回一番驚いたことは真梨先生は縄文時代についてすごく勉強されたんだろうなということ。縄文時代については土器のことをサラリと教科書で読むくらいのものだったから、縄文時代が一万年も続いていたなんて初めて知ったし、男性よりも女性優位の時代だったということがとても興味深かった。
学生時代に今作に出会っていたらもっともっと日本史に興味が持てたかも。勉強って受験のためじゃなくて、人間の興味関心を刺激するものであるべきだと思うんだよなぁ。今作はミステリーというよりも歴史のお勉強要素が強めだから、人によって好き嫌いは別れそうだけど私は好きだ。
何気なく毎日歩いている道は昔はどんなところだったのだろう?なんて地名から想像したり文献を読んだりしても面白いだろうなぁ。