mooncatの図書館

本が好きです。図書館に住みたい。読んだ本の感想文を書いています。

東京すみっこごはん 雷親父とオムライス 成田名璃子 レビュー ネタバレあり

 

美味しく食べてほしい人がいるって、本当に恵まれたことなのよね。

 

今作のP305の田上さんのセリフを引用した。私自身、結婚してから毎日思う。たまに作るのが面倒だなと思う日もあるけれど、美味しいと言って笑顔を向けてくれる家族がいることが何よりも幸せだ。

 

こちらこそ、私が作ったものを食べてくれてありがとうと思うし、野菜を作ってくれている農家さん、魚をとってくれている漁師さんやお肉を作ってくれている畜産業の方々、そして運んでくださる運送業の方々。全ての人に感謝をしている。私たちの口に入るまでにたくさんの人達が関わってくれているのだ。

 

東京すみっこごはんを初めて読んだ時は、ごはんの香りが漂ってくるような描写と人の温かさに何度も涙し最後は号泣。

 

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これシリーズになってくれたらいいのに、なんて思っていたらやっぱり!シリーズになっていて慌てて2作目を読んだ。生きていると良いことばかりではない。悲しいこと、苦しいこと、もう死んでしまいたいと思うことさえある。だけど生きている限りはお腹が空くんだよね。そんな時に心のこもった温かい美味しいご飯を口にすると幸せだと思うし、もう少しだけ頑張ってみようかなとも思う。

 

今作でも人生に悩んでしまったたくさんの人が登場する。夢を追っているけれど諦めようかと思っている専門学生、妻を亡くした頑固親父、中学受験を親から押し付けられる小学生。ひょんなことからすみっこご飯にたどり着き、人の温かさに触れる。読み進めるたびに幸せな気持ちになるけれど、そんなすみっこごはんが取り壊される!?

 

1作目から読んでいる私は、すっかりすみっこごはんのイツメンになっているわけで、なんとか阻止したい。けれどそういう働きをしているのは誰なの?と他のメンバーを疑い始めてしまってモヤモヤ。幸せなはずなのにモヤモヤ。

 

お金ね。お金に目が眩むってね、本当に心が貧しい。私が40を手前にして声を大にして言えることは、大切なものはお金では買えないということ。愛情、温かい家族、友情、健康な体、時間・・・言い出したらキリがないけれど、どんなにお金があっても本当に大切なことはお金では買えない。とは言っても、生活するだけのお金は必要だけどね。

 

まだまだシリーズは続くので、次の3作目が楽しみだ。幸せだと感じられる人が一人でも多く増えますように。そう思って読み始めたい。