八つ墓村 横溝正史 レビュー ネタバレあり
ミステリー好きとしては必ず読んでいるはず?の横溝正史作品。自らが読んでいないことに衝撃を受け、とりあえず有名どころから読んでみた。
戦国の時、欲に目が眩んだ村民たちに8人の武者が惨殺される。その後不可解なことが村に幾たびも起こるようになったことから“八つ墓村”と呼ばれるようになる。その後も残忍な事件が起こる・・・
というホラー仕立ての作品だが、文章構成の美しさに魅了されあっという間に読了。50年前の作品だし古臭いところがあっても不思議ではないはずなのに、全く古さを感じさせない。ただただ一語一句逃したくないという思いで読んだ。こんなに魅了されたのは久しぶりだ。
神戸に住む寺田辰弥が八つ墓村に呼び寄せられ、あたかも彼が犯人であるように仕立て上げられ殺人が起こり続けるも守ってくれる姉の存在。一時は一番怪しくない姉が犯人なのか?なんて疑い続けていたことを許してほしい。
昔の田舎らしい閉鎖的で血縁が全てだと思っているような村民。そして昔の出来事をあたかも昨日起こったかのように時間が止まり続けている空間には息苦しさを感じずにはいられなかったが、それは今の田舎でも変わらないのかもしれない。
犯人、そして犯行動機が分かった時は人を愛するが故の悲しさも感じたが、それよりも横溝正史の読ませる技術というか文章の美しさに魅了されあまり驚きが無かったのが正直なところだった。
あぁ、本当に本当に美しい文章に触れた後の心地よさを感じている。最高に幸せだ。